ユベントスの誤解

消えぬ伝説

ファンフォーラムや解説でも繰り返される『ユベントスは常に1点だけ』という言い回し。しかし実際には、その主張は統計的にまったく根拠がない。ESPNでプレイヤー追跡データを分析する立場として、感情的な物語よりも真実のパターンを重視する。

得点数が語る真実

実際にシーズンごとの得点を見ていこう：

• 1993–94: 56ゴール（セリエA優勝）
• 1994–95: 57ゴール
• 1995–96: 67ゴール（アンチェロッティ時代）
• 2000–01: 68ゴール（アンチェロッティ指揮下）
• 2007–08: 71ゴール（マロッタ時代の再建期）

これらは低得点チームではない。現代基準でも高得点攻撃型だ。

特にマルチェロ・リッピ監督時代（1994–2001）も、試合平均でほぼ2ゴールに迫る水準だった。唯一の低下？‘98–’99年——だが原因は戦術ではなく、アレサンダー・デルピエロの大怪我と監督交代による混乱だった。

実際の要因とは？

この年に得点が減ったのは、スター選手不在＋経営陣との対立による監督退任。戦術的哲学ではなく、状況的要因である。

もし「スタイル」と呼ぶなら、スタープレイヤーが欠けたチームすべてを『守備志向』と呼ぶべきだろうか？だがそうしないのは、データに敬意を持つからだ。

「リスク回避」論への反論

確かにリスクはゼロではないが、創造性もゼロではない。この時期にはジダン（出場少ない）、メンツァ（Enzo Maresca）、トーレ・アンドレ・フローらも攻撃面での輝きを見せた。また『94～20』年の間、6度のスクデット獲得と常に上位4位以内という安定ぶりも見逃せない。

本当に防御中心なら、15年間で6度優勝できるはずがないし、試合平均約2ゴールも達成できない。

データこそ正義

『慎重な一撃必殺』というイメージはサッカー文化の中で浪漫化されている。イタリアディフェンスの不敗神話や戦術的天才マネージャーというストーリーにフィットする。

だが8シーズン連続で65ゴール以上を記録しているチームが『慎重』だと？それは自信ある攻撃力だ。

防御力が高い＝シュート数少なめではない。本当の攻撃意図があるのだ。